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「親父によるとよく母は引越をしていたらしい。環境を変えるのが好きだって。でも今回みたいに行き先を告げずに、引越したのは初めてだって言ってたよ」
栄一は茅那子と子犬を見つめながら、眉をひそめる。
「お義母さんのオフィスはどうだったの?」
「もうたたんであって、看板もなかった。一体、何があったのかな?」
「心配よね」
茅那子は目を伏せた。
子犬は赤い首輪をして、名札をつけていた。
『ショコラ』
それがこの犬の名前らしい。
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