第9章 手紙

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 たった数年暮らしただけですが、私は一郎さんと栄一から、一生分の愛をもらえたような気がします。  それを支えにして、今、私は生きています。  できれば、また一郎さんと一緒に暮らしたかった……。  愛にはいろいろな形があります。  盲導犬の里親になるボランティアをご存知でしょうか?  子犬を授かって、里親はひたすら愛を注いで子犬を育てます。盲導犬として働けるようになったら、お別れとなります。立派な活躍をするように祈りながら、犬を見送ります。  これは、手放す愛とも言えるでしょう。
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