第1章 当惑

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 2年前に茅那子は学生時代から付き合っていた彼と別れている。マメな女を目指していたら、ストーカーと言われてしまった。結婚を考えていたほど好きだったのに、意気消沈した。それからは誤解されたくなくて、自分から男性に距離を置くようになった。  その間にもどんどん歳月は流れていく。 「お肌が水を弾かない!!」 それに気づいた時はちょっとしたショックを受けた。一滴、水を落としたら、茅那子の腕に水滴がじわじわと広がっていく。ちなみに若い人の肌はプルプルの状態で、水滴が残るそうだ。  こんな悲惨な状態で引きこもれるものなら、引きこもりたいと思ったこともある。しかし引きこもれるほどのお金もなかった。それに大体、自分の部屋が一番、落ち着かない。寝る時に身体が完全に伸ばせないほど狭い。  部屋を片付けようとしたら、ほとんどがゴミだった。本当に何もない部屋だったのかと茅那子は愕然とする。お金は貯まらないのに、ゴミはあっという間に溜まってしまう。
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