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「栄一さんのお父様はその後、再婚されたのですか?」
二人の結婚式に林一郎は参加してくれたものの、奥さんらしき人の姿はなかった。一方、絶縁している茅那子の親は不参加だった。
「『取引先の社長の令嬢と再婚したけれども、わがままで母との折り合いも悪く、すぐに別れたよ。それからはずっと独身のままだった。母ももう、強くは再々婚を勧めなかったよ』って、一郎さんは言っていたわ」
「では、お互いに独身のままなのですね?」
その子が愛する人と結ばれて、幸せになって欲しいという思いで、茅那子はいっぱいになっていた。
「それがそうもいかないのよ。大人の事情ってものかしら?」
その子は茅那子の考えを察したようにそう言い、寂しそうに微笑んでウインクした。
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