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白っぽいぼんやりとした霧に覆われた辺り、泥臭く息苦しい空気をした荒れた道、歩けば足に抜かるんだ泥がべちゃくちゃとまとわり付くその道を歩く、二人の人物が居た。
一人はローブを身に纏い、異様に白い、まるで色を全て抜き取られたような白髪をした碧眼の、左目に眼帯を着けた杖を持った10代後半くらいの少女。
もう一人は灰色の髪に、腰に剣を下げた、少女より少し歳上くらいに見受けられる少年が、少女の後を着いて歩いていた。
少年は辺りを見回しながら、目の前の少女に言う。
「…魔導師様、この辺りは…既に」
すると、少女は手にした杖を辺りにかざすと、杖の先から青白い光が灯り辺りを照らす。
照された辺りには、先程まで霧により隠れていた物が浮かび上がる、倒壊した民家…恐らくは元々村だったのか、倒壊した民家の瓦礫に集まっていたカラスが少女の灯した光に驚き飛び立ち逃げる。
少女はゆっくり倒壊した民家の中に光で照らして見ると、中には…人形(ひとがた)の三つの物が転がっている。
だがそれは…人形の死体だと思ったがよく見たら違う、長く放置された遺体は白骨して、その上から身に纏っていた衣服が劣化して残っているのが普通だが。
それは、人形をした“苔(こけ)”の塊の上から服があり、まるで生前は人間だった者が…そうなったかの様だった。
大きさは恐らく…二つの大きな物が両親で、小さな物が子供だった物か、それが民家の中に転がっていた。
「…“苔化病”…ですね、間違いありません、この土地も…既に“魔病”に蝕まれ、崩壊した後みたいです」
そう少女は建物から出て、杖を空に向けると、杖の先端から光の玉が空に打ち放たれ、それが上空で輝いたかと思うと。
発光弾の様に、辺りを照らす。
そこには、倒壊し廃墟と化した村が現れ、無数に先程と同様な人形の苔の塊が転がっていて、それが土の地面にも塊から苔が広がり。
木製の倒壊した建物の壁や、石で出来た建物の壁にも、苔がびっしり生えて広がっていた。
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