第二夜 「血に飢えた街」

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「……」 魔女が歩きながら周りを見る、街はかなりの広さをしていて、これだけ大きな街の港だと言うのにも関わらず活気はまるでなく。 というより人の姿が一切無かった、停船している船は長い間使われていないのか船体が腐りボロボロで、水の上にはゴミや魚の死体が浮いていたり。 周りの建物にも中で人が生活をしている様子がまるで無いのか、灯りが一つもなく、魔女はそんな様子を見て呟いた。 「…死んでるかのような街だな」 そう魔女が呟きながら見上げる、その見上げた先には…この港からも見えるような、街の中心に巨大な聖堂が建っていて、その聖堂の方へと向かい魔女は歩き出した。 街の中はとにかく静かで、他に住人がいる気配もなく港と同様にどの建物にも灯りは着いてなどいない、そんな中を歩きながら魔女は。 「…もう既に、この街は魔病で死滅したか」 そう呟きながら歩いていると、突如ぴたりと足を止めて、建物の間に挟まれた小路地を見つめながら。 「…いいや…どうやら死滅した訳ではないみたいだな…これは…」 そう魔女が見詰める先の路地の上に…人が横たわっていて、そこに覆い被さる人が居て、何かをしている、覆い被された横たわっていている人は手足がビクビクと痙攣していて…そんな様子を見て。 「…“魔病に犯された”か」 そう魔女が言いながら、わざとらしく足を地面に叩き付けて音を鳴らせば、その音を聞いた覆い被さる人はビクッと反応して、起き上がるとこちらをゆっくりと振り向くと…。 青白い不健康そうな肌をした、酷く痩せた体をしていたが…お腹の部分だけが異様に丸く膨れ上がっていて…、口から…何かがでろりと垂れている。 それは舌などではない、黒く先端が鋭い…針のような…それが口から胸板くらいまで伸びている…、その先端ならポタリポタリと血が垂れていて。 ついさっきまで…それを使い、この下にある死体から…“血を吸っていた”と言うような感じだった。 その口から異質な物体が出ている人物は、次の瞬間に魔女の方へと向かい、凄まじい早さで迫ってきた。 「ギィイイイイイ!!!」 そう、最早人間の声ではない…何か“虫の鳴き声”のような金切り声を挙げて、迫って来た。 そんな人物に、魔女は…静かに身構える、魔女の目の前まで迫ってきたその人物…魔女に掴みかかろうとした時、魔女はその人物の額を掴んだ。
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