異端者の現実

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「分かりました。仲良く、しましょう」 『君ならきっとそう言ってくれると思ってた。何かあったらいつでも連絡して。僕からもするから』 「はい」 『それじゃあ。これからよろしくね、詩くん』  恋情も友情もない、互いの利益のためだけに手を取り合う。効率的かつリスクの少ない関係に、詩はこちらこそと言葉を返して通話を切った。 ──利用、か……。  音の聞こえなくなった携帯は無機質に、手の熱を奪った(ぬる)さだけがそこにある。  樹もまた、独りでは抱えられないような傷をあの身に負っているのだろうか。 「……、ついでにこれも、何とかしてくれないかなぁ」  静かな部屋に突如鳴った軽快な通知音に目を向けた詩が、ため息と共にそう言葉を吐く。  再会してから通算十数通目になる尚久からの連絡に目を伏せた彼は、そろそろネタ切れを起こしそうな断りの理由を探しながら、渋々メッセージを開いた。
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