第2話 白雪姫ってどんな話

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 修復屋リコルヌ。  またの名を、修復屋 一角獣とも呼ばれる。  先程から(そう)に、師匠、と呼ばれるユーグが店主を務めるこの店は、世間一般には、買い取りも行う古本屋として、ひっそりと郊外に店を構えている。  潰れそうで潰れない。  そんな風によく言われる古本屋は、あくまでも副業として行っているだけで、本業は、別にある。  世の中には、作品の、作者の思いと、大勢の読者たちの思いを集めてしまう本が、一冊だけ、存在する。  それは、初版であったり、改稿されたり、重版されたものであったりと、その作品の、どの本が該当するのか、決まってはいない。  そして、その本の持ち主は、自分の本がそんなに強い力を持っていることなど、大半は気がつくこともない。  けれど、自分が持っているその本が、実は、同じ作品の、すべての本に影響を与えるとしたら、どうだろう。  例えば、本にいたずら書きをしたり、本の一部を不注意で汚してしまったり、ページを破ってしまったり。  そうしたことが、世界中の、自分以外が持つその本に影響を与えているとしたら。     
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