第3話 潜入調査開始

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第3話 潜入調査開始

「ああ、そういえば、ニルス、ケビン。話があるんだけど」  そう言った僕に、「何なに?」と普段は口喧嘩ばかりしている二人が息ぴったりに口を開いた。 「何か上手く言いくるめられたような気がする…」 「そんなことないよ」 「(そう)のその笑顔!」 「笑っただけだよ、ケビン。時間が惜しい。着替えて早く行かないと」 「えー……」 「おや、師匠に無理をさせるつもりかい?」 「それはダメだ!」  バッ!と僕に詰め寄るケビンに、ほら、と洋服を差し出せば、彼は渋々、といった様子でその服を受け取る。 「なぁ、(そう)は……市民か?」 「うん。オリヴァさんのところの弟子、っていう設定」 「じゃあ俺は?やけにキラキラしてんだけど」 「ケビンは今回はお城の近衛兵」 「これがぁ?こんなんで?」 「ああ、うん。何やらお后様の好みらしいよ」 「好みねぇ…?まぁ…人の好みは色々だからアレだけど…近衛兵なのに重たくねえのかな、この服。いざって時に動けねぇぞ?コレ」  くるり、とその場で回ったケビンの服は、彼が言うように金や銀の糸を使った装飾が施されキラキラとしている。 「あまり出動する機会が無いのかも知れないね」 「へぇ…けど、近衛兵っていうくらいだ。俺より強い奴いるかなぁ」  関節を鳴らしながら楽しそうに支度をするケビンに、「目的を忘れないように」と釘をさせば「はーい」と良い返事が返ってくる。 「細かい指示は出さないから、師匠に無理をさせない程度に自由にやってきて構わないよ。ただ、くれぐれも」 「物語が大幅に変わっちゃわないように、だろ?ちゃんと分かってるって」 「それなら良いんだけど。ケビンはたまにやらかすから。後で修正するの大変なんだから」 「分かってますって」  本当かなぁ、と溜め息をつきながらケビンを見れば『(そう)』とニルスが僕を呼ぶ。 『変なことしでかしそうなら強制帰宅させるから大丈夫』 「ニルス…それは…」 「俺そんなヘマしねぇし!」 『そんなこと言っていつも面倒ごと起こすのは誰よ』 「アレは俺のせいじゃなくて面倒ごとが勝手に起こるんだよ!」
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