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第1話 修復屋リコルヌ
「林檎農家さんから、ですか?」
「ええ。林檎農家さん。指定された林檎を、何度も何度もお城に持って行っているのに、その度にお城から、色艶の良い林檎が全然お城に入ってこないと言われているらしくて。お金を払ってもらえてないようですね。依頼主の農家さんは出荷していると、手紙には書いてありますね」
「誰かが邪魔してるってこと、ですよね?」
「なんとも言えませんが……普通の林檎は届いているようですよ」
「え、じゃぁそれじゃ駄目なんですか?」
「ええ。それは作者の本意では無いですから」
「なるほど……上から毒を塗っちゃうから分からなそうな気もしますけど……」
「まぁ、確かに毒は塗りますが、元々が美味しそうでなければ君だって齧らないでしょう?」
師匠の言葉に、確かに、と小さく頷く。
「ですので、今回の君の仕事は、林檎を無事にお城に、というよりは后に届けること、になりますね」
「お嬢さんから見れば結果的にはハッピーエンドですけど、一時的でも仮死状態にさせる要因を届ける手助けをするのは、なんだか気が引けますね」
そう言った僕に、師匠が困ったような表情を浮かべて手元の本の表紙を眺める。
「私が行ければいいのですけど……」
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