第4話 特別な林檎

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 そう耳元で聞こえるのは半ば呆れたように言うニルスの声だ。 「でも(そう)はなかなか相手してくれない」  一歩の幅が少し広い階段をゆるゆると昇りながらボヤけば、『ふふ』とニルスとは違う柔らかな小さな笑い声が聞こえる。 『ケビン君は十分に強いですから。それは湊君が一番分かっていますよ』 「先生ぇ……!」 『……店長、甘やかしすぎです。それと少し休んでくださいってさっき私がっ』 「……ニルス、静かに」 『……!』  無線機越しに聞こえるニルスの店長へのお小言の最中、妙な視線を感じた気がして、小さな声で停止を告げれば、ニルスの息をのむ音が聞こえる。  階段の上部に差し掛かった瞬間、妙な視線が身体に突き刺さった。  何処だ、と辺りを見回すも、誰か、と言うわけでは無い。 「……(そう)とニルスが言ってたのは、コレか」 【お后様が持っている魔法の鏡は、多分だけど、空間干渉系統の魔法を利用している可能性が非常に高いと思う】  魔法のことは、正直、俺には未だよく分からない。     
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