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そう耳元で聞こえるのは半ば呆れたように言うニルスの声だ。
「でも湊はなかなか相手してくれない」
一歩の幅が少し広い階段をゆるゆると昇りながらボヤけば、『ふふ』とニルスとは違う柔らかな小さな笑い声が聞こえる。
『ケビン君は十分に強いですから。それは湊君が一番分かっていますよ』
「先生ぇ……!」
『……店長、甘やかしすぎです。それと少し休んでくださいってさっき私がっ』
「……ニルス、静かに」
『……!』
無線機越しに聞こえるニルスの店長へのお小言の最中、妙な視線を感じた気がして、小さな声で停止を告げれば、ニルスの息をのむ音が聞こえる。
階段の上部に差し掛かった瞬間、妙な視線が身体に突き刺さった。
何処だ、と辺りを見回すも、誰か、と言うわけでは無い。
「……湊とニルスが言ってたのは、コレか」
【お后様が持っている魔法の鏡は、多分だけど、空間干渉系統の魔法を利用している可能性が非常に高いと思う】
魔法のことは、正直、俺には未だよく分からない。
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