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ガチャ、とケビンが玄関のドアを開き、僕もまた、ドアを潜る。
二人揃って室外に足を踏み出せば、もうそこはオリヴァさんの家とも、玄関先とも異なり、僕とケビンが依頼の時に使う拠点内部へと一瞬にして切り替わる。
パタン、と閉じられたドアの音に、フゥ、と大きく息を吐けば、ケビンも「最後はいつもバタバタなんだよな」と苦笑いを浮かべる。
『二人とも、お疲れ様でした』
『お疲れ様!』
そう言って、立体映像で現れた師匠とニルスの姿を見て、はあ、と今度は安堵の息を、大きくつく。
「師匠、申し訳ありません。少し時間がかかってしまいました」
「湊のせいじゃねえよ!俺が」
頭を下げて謝った僕を見て、慌てたケビンに、『二人とも頑張りましたよ』と師匠は優しい笑顔を浮かべながら答える。
『大丈夫です。まだまだ元気ですから』
「いや、でも」
『二人とも、それ以上言うなら、帰ってからお仕置きでもしましょうか?』
「うぐ……」
少し頬が、と言葉を続けようとしたものの、ニッコリ、と有無を言わさずに微笑む師匠に、言葉が詰まる。
『ふふ、良い子ですね。では、湊君、ケビン君。繋ぎますね』
「はい」
「はーい」
師匠の言葉を聞き、僕とケビンは室内のどの扉よりも、存在感のある木の扉を開け、足を進める。
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