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そう言いながら、ああ、もっと早く戻るべきだった、と師匠の姿を見てグ、と静かに拳を握りしめる。
「湊君」
「は、い」
師匠が僕の名を呼び、笑顔を浮かべながらちょいちょいと手招きをする。
何かあったのだろうか、と近づいた僕の頭に、師匠がぽん、と手をのせる。
「え……?」
「頑張りましたね。湊君」
師匠の手が、ゆっくりと動く。
「し、しょう、なんで、頭撫でて……」
「頑張った子には、ご褒美が必要でしょう?」
ニコニコと微笑んだまま、僕の頭を撫でる手を止めない師匠に、僕は嬉しいやら照れくさいやらで、耳まで熱くなっている。
「今回、湊君はいつもよりも多く魔法を使っていますからね」
ふふ、と優しく笑う師匠に、「……やっぱり気づいてましたか」と小さく呟けば、「私は君の先生ですから」と師匠は嬉しそうに笑う。
「まだまだ、手間のかかる子でいて欲しいものです」
くすくすと笑う師匠に「でも、それだと師匠の身体が」と言い募れば、「湊君」と師匠が改めて僕の名を呼ぶ。
「私は、今までも、これからも、君たちとは違う時の流れを生きている。鍵の魔法使いの弟子となった君もまた、人よりもとても長い年月を過ごすことになる。だからこそ、弟子が早くに独り立ちするのは、嬉しくもあり、寂しくもある」
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