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そこに書かれているものは、僕たちとは違う国の言葉で、僕と師匠は慣れているものの、二人は読み取るのにまだ少し時間がかかる。
「確か、これは、『コレが、欲しい』だったよな」
「え、じゃあこれは?」
「なんだっけ。えっと」
羊皮紙を覗き込みながら言い合う二人を見て、師匠は楽しそうに微笑む。
「始めましょうか」と僕を見て言う師匠に、「はい」と答え、師匠の背を支えながら中央に置かれた古く存在感のある机へと向かう。
そこに置かれているのは分厚い本の形をし、本来であれば真ん中にぽっかりと空洞がある修復型なのだが、今、この修復型の中には、さっきまで僕とケビンが入っていた「白雪姫」の本の【原盤】が開き置かれていて、そのページは「リンゴ」が登場するシーンだ。
こちら側での実際の本の修復は、ニルスが本の精霊たちの力を借りてもう既に済ませてある。
あとは、この【原盤】に、師匠が封印を施すのみ。
修復型と原盤に近づいた師匠の魔力に反応するかのように、机に置かれた2つが少しずつ光を帯び始める。
水の精霊は、山の雪解けの水4杯に微笑みを。
風の精霊は、真白な白鳥の羽の一つへ微笑みを。
花の精霊は、ベニバナの花束へと微笑みを。
そして、木の精霊は、数あるリンゴの中から、たった一つだけ、真っ赤な艶めかしいリンゴの実の一つに微笑みを注ぐ。
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