ヒカリトカゲ

2/2
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
日が沈む前 ベランダに缶ビールを片手に立つ 今日も一日が終わる よく冷えたビールのプルタブを開け、一口飲む 喉を通る程よい刺激 「うま」 にやりと笑いながら、手すりに腕を乗せ、その上に顎を乗せる 目の前には、オレンジ色をした光がゆっくりと沈み始める 「何してんのかな?」 頭に浮かぶのはキミの姿 きちんとスーツを着込み、大量の資料を頭に詰め込む 銀色のペンを持ち、人差し指をこめかみに当て少し唇を噛み締める 「ふふふ」 鮮明に思い浮かぶキミの姿に思わず笑みが零れた いつだって どんなときだって 想うのはキミ 仕事が大好きで もちろん 遊びだって好き どんなことでも一生懸命で 妥協なんて許さない 人一倍努力をしてて 俺になんか出来ない 仕事だって好きじゃないし 遊びだって好き嫌いがある キミを想う温かな気持ちがヒカリなら キミを想い苦しくなる気持ちがカゲ どちらの気持ちを持ち合わせ、キミのことを想う 残りを一気に飲み干して、身体を起こす ポケットからスマホを取り出し、キミに繋げる 『どうしたの?』 「会いたい」 素直に伝えれば、キミはふふと笑って 『これから、会いに行くよ』 その言葉を聞いて、俺は部屋に戻る キミの好きなオムライスを作って待っていよう ヒカリだけを持って、キミを迎え入れる 俺は、キッチンに向かった
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!