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「直すんなら、こいつ。治してやってよ。」
「え?やだ!凄い血でてるわよ!あなた大丈夫!?」
「あ、はい。先輩がここまで運んでくれたので。」
私は漸く、隠していた顔を晒すと。ますます目の前にいる篠田先生が顔面蒼白した。
「どこが大丈夫なの!?女の子が顔に怪我なんかして!ここに水道あるから!膝と鼻、洗いなさい!頬も少し擦ってるわよ!」
「え?」
ひかり先輩に体を床に降ろされる。そして蛇口の上、壁に張り付いている鏡を見て私は驚愕した。篠田先生と同じ…まさに顔面蒼白だ。
(高校生になって初日に好きな人ができたのに、初日からその人にみっともないところを見られてしまった。)
擬音をのせるのであれば「トホホ」が、お似合いだろう。私は靴下を脱いで膝を上げた。そして…
「ひいいいっ!」
擦り傷に容赦なく注がれる冷水に、思わず声をあげずにはいられなかった。
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