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「…どんな、人なんですか?」
ひかり先輩の横たわるベッドにちょこんと腰をおろす。
「何が?」
「その、好きな人。」
「ああ、小動物みたいな奴。」
(小動物…。)
爪先から上がってくる。ここまでのひかり先輩の言動とか、私が感じたこと。小さな、けれど様々な事柄。
***
「麻友!扉、開けて。」
「んー。待ってる。」
「初日からサボらないでよ!今日から二年生でしょう?」
(小動物みたい。)
「小動物みたいな奴。」
***
「………。駄目だよ。」
「何が?」
「先生、好きになっても意味ないです。」
「誰も相手が、先生なんて言ってないけど?」
「なら、何でまだここにいるんですか?」
交差する視線。私の瞳から、大粒の涙が溢れて流れてくると、ひかり先輩は慌てて体を起こした。
「は!?ちょっ、おまっ。どうし「好きです。」
「…え?」
「だって、私もう、ひかり先輩のこと好きになっちゃいました!」
強引で身勝手な私の一目惚れに、眉間にシワを寄せて困り顔を見せるひかり先輩は、静かに口を開く。
「それは、錯覚だろ。俺が今、お前をここに連れて来てやったから「『お前』じゃありません!」
「ひらりです!」
「…うっせ、雨霧。」
ひかり先輩は狡い。そっぽを向いて置いて、腕は私の頭へ。その長い指で私の髪の毛をわしゃわしゃと掻き乱した。
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