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昔は、夕方学校から戻った子供達が遊びに来て、たまに竹輪の端切れを投げてもらったってお袋は言ってたけど、最近じゃ、子供が来ないから竹輪にありつくこともない。それに、たまに来る人間は、俺をミャー子とかトラ子とか呼ぶ。俺、オスなのに・・・。そして、そんなトンチンカンな名前で呼びながら、カシャカシャと音のする物を俺に向け、騒いで帰る。この前、その音のする物の中に俺と同じ猫がいて、毛を逆立てて威嚇したが、良く見ると俺だった。ビックリして死ぬかと思った。
俺は毎日、いつ倒れてもちっとも不思議ではないこの祠に日々の報告をし、感謝の証に雑草が見事に生い茂った境内をパトロールするのが日課だ。その後は、鍵だけはやけに頑丈な賽銭箱の端にこうして座って、鳩でも眺めて一休みする。
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