探索

1/1
前へ
/14ページ
次へ

探索

深夜、私は飛び起きた。 帰ってきた…! 私は着替える間も惜しんで、懐中電灯を持って外に飛び出した。 シャベルなんて持ってない。 驚いて起きたタマが、慌てて後ろから追い掛けて来る。 「タマ!人の姿で手伝って!」 私は猫神様から教えて貰った辺りに向かいながら、タマにそう言った。 幸い、アパートから物凄く離れた場所というわけではなかった。 二人で走って走って、到着した頃には汗でびっしょりだった。 その場所も立ち入り禁止の看板が出ていたが、私とタマは構わず入り込んだ。 私は素手で地面を掘り始めた。 タマも辺りを掘り始めた。 手が汚れようが、痛かろうが、今はそんな事はどうでも良かった。 途中、埋まっていた木やガラスで手が切れた。 けれど、暗闇の中、掘り当てる事だけに集中していた。 「あった…!」 私は、チリン、と鳴る鈴が付いた首輪を掘り出した。 泥だらけだったが、タマが首にしている鈴の首輪と同じものだった。 震災の時、タマの首から外れてここに流されたらしい。 タマはその首輪を見ると、ニャーニャーと泣き出した。 私もつられて、大声で泣き出した。 二人は泥だらけで、傷だらけだった。 もうすぐ、朝日が昇る。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加