27人が本棚に入れています
本棚に追加
探索
深夜、私は飛び起きた。
帰ってきた…!
私は着替える間も惜しんで、懐中電灯を持って外に飛び出した。
シャベルなんて持ってない。
驚いて起きたタマが、慌てて後ろから追い掛けて来る。
「タマ!人の姿で手伝って!」
私は猫神様から教えて貰った辺りに向かいながら、タマにそう言った。
幸い、アパートから物凄く離れた場所というわけではなかった。
二人で走って走って、到着した頃には汗でびっしょりだった。
その場所も立ち入り禁止の看板が出ていたが、私とタマは構わず入り込んだ。
私は素手で地面を掘り始めた。
タマも辺りを掘り始めた。
手が汚れようが、痛かろうが、今はそんな事はどうでも良かった。
途中、埋まっていた木やガラスで手が切れた。
けれど、暗闇の中、掘り当てる事だけに集中していた。
「あった…!」
私は、チリン、と鳴る鈴が付いた首輪を掘り出した。
泥だらけだったが、タマが首にしている鈴の首輪と同じものだった。
震災の時、タマの首から外れてここに流されたらしい。
タマはその首輪を見ると、ニャーニャーと泣き出した。
私もつられて、大声で泣き出した。
二人は泥だらけで、傷だらけだった。
もうすぐ、朝日が昇る。
最初のコメントを投稿しよう!