夜Ⅰ

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夜Ⅰ

夜、私はかなり警戒していた。 明日は仕事が休みだ。 徹夜してでも原因を突き止める覚悟だった。 一昨日のアザはともかく、昨日の爪に土事件は怖すぎる。 深夜3時、さすがに眠くなってきてしまい、ウトウトしてベッドに入ってしまった時だった。 私の覚悟はどこへやら。 その時、視界にぼんやりと、「何か」が入り込んだ。 んん? チリン。 鈴の音をたてて、一匹の猫が私の前に現れた。 …猫? 「しまった、今日は寝てないみたいだニャ。」 ねっ、猫が喋った! 私はガバッと飛び起きた。 それでも猫は逃げなかった。 そしてさらに、私の視界がぼやけていたのか、猫はゆらゆらと揺らめきながら次第に人の姿になった。 「ネコマタのタマです。一応妖怪の類いです。」 二十歳前後の男性に化けた猫はいきなり自己紹介を始めた。 「この事を人に喋ったら容赦しません。」 自称タマはそう言ったが、ネコミミがついてる上に二本の尻尾まで付いてる男性に凄まれても、全く迫力がなかった。 …首に鈴まで付いてるし。 私はこれは夢か何かだと思い、もう一度ベッドに入った。 うん、寝よう。
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