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朝
朝目が覚めると、タマが猫の姿でベッドの下で眠っていた。
…夢じゃなかったんだ。
私は適当に食事を摂ると、タマを起こした。
「それで、何を探してほしいの?」
「ご主人との思い出の品ですニャ。なんでもいいんですニャ、ご主人と暮らした日々の何かが欲しいんですニャ。」
猫のタマはそう言った。
…うーんアバウトだなぁ。
「とりあえず、現地に行ってみるしかないか…。」
「引き受けてくれますかニャ!?」
「末代まで祟られたくないしね…。」
今日明日は土日、私はその間に見つかるだろう、なんて安易な気持ちでいた。
午前中、猫の姿のタマと現場に行って愕然とした。
そこは、3.11の震災で被害にあった場所だったのだ。
今のアパートからさほど距離はなかったが、湾に近いその場所は大きく被害を受け、私の住んでいるアパート付近は湾に近いが山になっていたため、被害を免れた。
タマの言う場所は立ち入り禁止の看板が立てられ、今まさに工事中という状態だった。
「タマ、これは難しいかもしれないよ…。」
私はタマにそう言った。
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