バンビさんとメリーくん。

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「ん、バンビちゃん先輩、後ろ結ぶですよぉ」  私はリボン結びがすごく苦手です。 なのでこうしてメリーくんが結んでくれます。 「……ちゃんとお薬飲んでる?」 「はぁい、飲んでまぁす」  メリーくんはおやすみなさいの病気なのです。 いつかは倒れたと聞いています。 だから私達は気をつけます。 メリーくんが危なくないように。 「はい、出来ましたです」 「ありがと──って、大丈夫?」  振り返るとメリーくんはうつらうつらしていました。 ぐらぐらと前後左右に揺れています。 私は慌ててメリーくんの両腕を掴みます。 すると、ぱっ、と目が開きました。 「……目を開けるといつもバンビちゃん先輩がいる気がするです」 「そんなわけないでしょ」  私は三年、メリーくんは一年、学年も違えばもちろん教室も違います。
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