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あまりの嬉しさに、声が出ない。
正幸からキスされるなんて、初めてだ!
微かに触れた唇を手で押さえて、息を飲んだ。
「ありがとう。
素直じゃない正幸も、僕は大切で、愛しいよ。」
閉じた瞼にそっとキスをした。
寝たふりをしてた事を知ったら、正幸は怒るかな?
そう思いながら、そっと髪を撫でて、耳に触れて…。
擽ったいのか、わずかに肩を上げて小さく呻いた。
そっと顔を覗き込むと、きつく閉じた瞼が震えていた。
「愛してるよ。正幸。ずっと離さない。
文句ばっかり言ってたって、可愛くて仕方ないんだ。
だけど、たまには素直に甘えて欲しいな。
例えば…キスをねだったり、手を繋いだり。」
細い指を取ると、一本ずつ指を絡めて、恋人繋ぎをした。そのまま手の甲に唇を寄せて話しかけた。
「僕を好きって言ってよ。
寝たふりをしててごめんね。全部聞いちゃった。
だから、ねぇ。
正幸。そろそろ起きてもいい頃じゃない?」
正幸は恐る恐るといった感じで目を開けて、じっと僕を見つめる。
「ずるい…。原口のバカ!
俺…超恥ずい…。」
照れて真っ赤に染まった愛しい恋人に、お望み通りのキスを。
甘く濃厚な、昨日までの僕らには出来なかったキスをしよう。
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