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「はぁ…はぁ…。」
僕は必死に階段をかけ上がる。
遅くなったら何をされるか分からない。
もうすぐだ、もうすぐ…。
僕は目的の場所にたどり着いた。
息を整えることなくドアを開ける。
「はぁ…はぁ…。買ってきたよ。」
「おせぇーよ、下僕。」
そこには金城悠哉(かねしろゆうや)が足を組んで待ちわびていた。
「ほんとトロイよね~。」
その横には彼の彼女、鈴宮楓(すずみやかえで)がいた。
さらに数人の取り巻きが彼の周りに集まっている。
「ご、ごめん。以外に混んでて…。」
「言い訳してんじゃねーよ!下僕のくせに。!!」
取り巻きの1人がそんなことを言ってきた。
「まぁ良い。さっさと持ってこい。」
金城はそう言った。
「う、うん。」
僕は彼らの前で袋から食べ物と飲み物を取り出し、1つ1つ渡していく。
「…おい。俺は1番人気のやつ買ってこいって言ったはずだぞ。」
「ご、ごめん。行ったときにはもう売り切れてて…。」
ガッ。
金城は僕を殴ってきた。
僕は倒れこんだ。
「売り切れてんだったら誰かからパクってこいよ。この役立たず。」
ドスッ、ドスッ…。
金城は何度も僕を蹴る。
鈴宮と取り巻きはそれを見て笑っている。
周りは誰も助けようとしない。
皆分かっているのだ。
金城に逆らうとどうなるのか。
学校に居られなくなるだけでなく、家族にまで危害が及ぶ可能性がある。
それくらい彼は権力を持った家庭に生まれたのだ。
「チッ。皆行くぞ。」
金城は僕を数回蹴ると、満足したのか何処かへ行ってしまった。
鈴宮と取り巻きは僕を見て笑いながらその後を付いて行った。
誰も、僕に手を貸そうとはしない。
僕は痛みに耐えながら保健室へと歩いていった。
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