姫様との出会い

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僕と金城は小学校から同じクラス、つまり幼馴染みだ。 昔は良く一緒に遊んだものだ。 だが、ある出来事がきっかけで彼は僕を恨むようになり、いじめるようになった。 彼の気持ちを考えると仕方ないのかもしれない。 僕には彼を責めることはできなかった。 放課後、僕は屋上に来た。 落ち込んだときは、良くここに来て、ベンチに座って、空を眺めている。 ベストなのは夕方17時を過ぎた頃。 その時間は皆部活に行っていて滅多に人は来ない。 僕にとっては至福の時間だ。 屋上のドアを開けてべんちの方を見ると、人がいた。 その人はベンチに横になっていた。 …というより、寝てる? 僕は恐る恐る近づいた。 見てみると、その人は女性だった。 しかも可愛い。 「…可愛い人だなぁ。」 その人はスゥ…スゥ…と寝息を立てながら寝ていた。 しかしどうしたものか。 今は放課後、つまり学校は終わっている。 皆とっくに部活に行ったか、それでなければ帰っている。 本来ならば彼女もそのどちらかのはずなんだが。 「あ、あの…。」 僕は思いきって彼女に声をかける。 しかし、彼女は起きない。 「あの、すいません。」 今度は肩を軽く揺すってみた。 「ん…。」 彼女はちょっと反応したが、やはり起きない。 「困ったな…。」 本当は彼女を起こさなければいけない。 しかし、これ以上やったら彼女が不機嫌になってしまう可能性がある。 軽蔑した目で見られるかもしれない。 それに何より、僕は女性が苦手だ。 話しかけるのだって勇気がいるし、これ以上彼女といるのも正直怖くて仕方ない。 僕は悩んだ。 「…仕方ない。」 僕は学ランを脱いだ。 そして、彼女にかけた。 …これで少しは寒さが和らぐと良いのだが。 彼女は気持ち良さそうに眠っている。 僕は静かに屋上を後にした。
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