姫様との会話

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僕は正直驚いていた。 今日の騒ぎについては全ての生徒が知っているはずだ。 その状況の中でこんなにも何事もなかったかのように寝ていられるなんて。 僕はその女性をまじまじと見つめていた。 …可愛い。 「ん…。」 女性の目が開いた。 「!!」 僕は驚いて1歩下がった。 女性はゆっくりと起き上がった。 「ふぁ~。」 女性は欠伸をした後、眠い目をしてこちらを見た。 「…おはよう。」 「お、おはよう?」 女性が挨拶をして来たので反射的に返してしまった。 「…下里くん?」 「う、うん。ってどうして僕の名前…。」 「…昨日生徒手帳見たから。」 「あっ!?」 「…制服ありがとう。」 「う、ううん!気にしないで!!」 「「……。」」 数秒間無言が続いた。 「…座る?」 「あっ。…失礼します。」 僕は彼女のペースに圧倒され、つい返事をしてしまった。 僕は緊張しながらも隣に座った。 「…あ、あの。」 「…なぁに?」 「昨日もここで寝てたけど、屋上良く来るの?」 「…ううん。友達待ってたら眠くなっちゃって。教室とかじゃ眠れないから。…でも、ここは風が気持ち良くて、ちょっと気に入った。」 「そ、そうなんだ。」 見ると、彼女は首をフラフラさせて眠そうな顔をしていた。 「…眠い?」 「…うん。」 「あの。良かったら寝てても良いよ。僕もしばらくここにいるから。」 「…うん。そうする。」 すると彼女は、僕の膝に頭を乗せてきた。 「えっ!ちょっ!!」 「…。」 僕が慌てていると、彼女は既に寝息を立てていた。 「…不思議な人だなぁ。」 正直、嫌な気分にはならなかった。 むしろ少し居心地の良さを感じている。 僕は彼女の友達が来るまでしばらくこの状態だった。 屋上には2人を包むように優しい風が吹いていた。 これが下僕と呼ばれる男、下里奏汰(しもさとそうた)と眠り姫、市川姫野(いちかわひめの)の本格的な出会いである。
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