プロローグ

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「ではお客様、こちらの商品で宜しいですか」 「はい、お願いします」 優美(ゆうみ)はそう言うと、店員に試着していた真っ赤なハイヒールを手渡した。 銀座でこんなに高い靴を買うのは初めてだった。そしてヒール自体、履くのは久々だ。 「あの、そのまま履いて行きたいんで、こっちを包んで貰えますか?」 「かしこまりました」 店員は促されるまま、優美が履いていたヒールの低いパンプスをお店の袋に入れた。 優美は買った赤いヒールを履いて、銀座には不釣り合いな大きなキャリーケースを引いて店を出た。 そして不慣れなヒールをコツコツ鳴らしながら、銀座駅へ向かった。
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