プロローグ

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プロローグ

 桜を見ると、思い出す。 ほんのり紅く染まった頬、小さく健康的な桃色の唇。 その味はとても甘くて、ミルクの味がした。 まるで男には見えない、美麗な出で立ちのあの男のことを毎年、桜が咲く時季になると鮮明に思い出してしまう。 ただでさえ、アイツは俺の『大嫌い』なタイプの人間だった。 その男と、桜を見ると胸を締め付ける、苦しい思い出が出来てしまうなんて、あの頃の俺には想像もできなかった。
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