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色々話し合った結果同じ部屋、別の布団で寝る事になった。
そして夜の9時、俺は自分の布団を持って倉田さんの部屋へお邪魔した。
「来てくれてありがとうございます。寝室はこっちでーす」
倉田さんに案内された寝室は、俺の部屋と隣合った場所にあった。
寝室は白と水色で埋め尽くされた落ち着きのある雰囲気。
「じゃあさっそく寝ましょう。おやすみなさい」
彼女がおやすみを言って10秒もしないうちに寝息が聞こえてきた。
そして……。
ギリギリギリギリ……
近づいて見てみれば歯ぎしりしていた。
「あのエロ大家、会う度鼻の下伸ばして人の体みてんじゃねーぞ。テメェのAVは全部拾い物か住人だったヤツらの忘れ物なの知ってんだよ」
倉田さんは怒り顔とドスの効いた声でとんでもない事実を話した。
えーっと、俺はどうすれば……。そういや最初は添い寝お願いされてたんだよな……。人の温もりによる安心感がどうとかで。
「落ち着けー、落ち着けー……」
俺は小声で言いながら倉田さんの髪をそっと撫でた。
すー……すー……。
倉田さんは安心しきった顔になり、穏やかな寝息を立て始めた。
これで大丈夫かと俺は自分の布団に戻った。
ギリギリギリギリギリギリギリギリ……
「ちくしょう、あのコンビニの店員お釣り渡す時に人の手握ってんじゃねーぞ。今日もお局気取りのババアがグチグチグチグチ。テメェがチヤホヤされねぇからってあたってんじゃねーよ。だいたいその歳で」
ポン、と倉田さんの頭に手を置くと、再び安らかに眠り始める。
手を離して少し待つと、歯ぎしりが始まった。
この晩、俺は倉田さんの頭に手を置いて眠った。
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