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そんなつもりでは、なかったのだ。 そんなつもりではなかったのだけれど、そういうこともあるのだろう。 夏も終わりかけていたあの日の夜、バイトからの帰り道で気付いた着信音は、先輩からのものだった。 「ちょっと飲みに行かない?」大好きな─と言っても人としてだが─先輩からの誘いに、私は二つ返事で了承した。 私は足早に先輩から指定された待ち合わせ場所へ向かった。 先輩の話では、私の同期と二人で飲んでいてそこに私が呼ばれたということだった。 しかし、待ち合わせ場所にいたのは先輩だけだった。 二人ともまだ飲み足りず飲み直そうという話になったが、結局私を呼び出したあとで彼は帰ることになってしまったのだそうだ。 先輩は少しだけ申し訳なさそうに「……二人きりになっちゃうけど、いいかな?」と聞いた。 もちろんだ、私には断る理由なんてない。 そして私はそのまま先輩の家へと向かった。
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