先輩と私

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「先輩、またそれ買うんですか?」 毎日部活終わりに寄るいつものコンビニ。 決まって先輩はイチゴ味のチョコレートを買う。箱に入った可愛いパッケージ。 「いいじゃん。好きなんだし」 「別にいいですけど」 私より10センチ以上背の高い、ちょっと筋肉質な、いかにも運動系の先輩。 そんな先輩が歩きながら小さなチョコレートを口に入れるたび、 「ああ…本当うまいこれ」 と、この世の幸せを全部受け止めたような崩れた顔でほんわかと笑みを浮かべるたびに、私は「似合わないな」と苦笑いをする。 「先輩は甘党男子ですよね、本当」 「疲れた時には甘いものだろ?それにチョコレートは疲労回復効果もあるんだぞ?」 ちょっと威張ったように解説する先輩に、私は小さく肩をすくめる。 「じゃあ今度のバレンタインの義理チョコはそれにしましょうか?」 「あ、それ賛成、めっちゃテンション上がる」 冗談のつもりが逆に喜ばれてしまった。
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