5人が本棚に入れています
本棚に追加
「んじゃ、先輩また明日部活で」
コンビニからしばらく歩くと先輩との分かれ道。
私は駅。先輩は逆方向。
私は軽く手をふると先輩に背を向けて歩きだそうとした。
その時。
「あ、ちょっと待て」
「はい?」
呼ばれて私が振り返った瞬間。
唇になにかが触れる。かすかに香る甘酸っぱい香り。
チョコレートをつまんだ先輩の指が、私の唇に軽くおしあてられる。
「やる」
そのまま私の口にチョコレートを入れると、先輩はゆっくりと指を唇から離す。
甘い味が口いっぱいに広がった。
「じゃあな」
先輩はにやっと笑うと自分の帰り道を歩き出す。
私の唇に触れたその指で、再びチョコレートを食べながら。
最初のコメントを投稿しよう!