先輩と私

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「んじゃ、先輩また明日部活で」 コンビニからしばらく歩くと先輩との分かれ道。 私は駅。先輩は逆方向。 私は軽く手をふると先輩に背を向けて歩きだそうとした。 その時。 「あ、ちょっと待て」 「はい?」 呼ばれて私が振り返った瞬間。 唇になにかが触れる。かすかに香る甘酸っぱい香り。 チョコレートをつまんだ先輩の指が、私の唇に軽くおしあてられる。 「やる」 そのまま私の口にチョコレートを入れると、先輩はゆっくりと指を唇から離す。 甘い味が口いっぱいに広がった。 「じゃあな」 先輩はにやっと笑うと自分の帰り道を歩き出す。 私の唇に触れたその指で、再びチョコレートを食べながら。
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