休章

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  休章  六月二十日からの話を少ししよう。レジスタンスとクズの話だ。  レジスタンスとは、今はもう機能していない政府の抵抗勢力で、個人的にはいけ好かない。いけ好かない理由としては、なんとなく見下されている様な感覚、僕達の事情なんてお見通しといった様な喋り方とか、理由を挙げようとすればいくらでも出てくる。僕が政府にいたからか、抵抗勢力に対して良い印象がないのかもしれない。まぁでも本当の所は、ゾンビを殺した者を、殺人者と言った事だろう。  曲がりなきにも政府の代わりになろうという勢力だ。第一に考えるべきは、国民の事だろう。国民と国土と権利を守るのが政府だ。だが奴等は殺人者と言った。ゾンビも等しく国民とでも言うのか。馬鹿馬鹿しい。今を精一杯生きている国民を労いもせず、犯罪者扱いした。  中にはゲーム感覚でゾンビを殺すようなクズもいるが、大半は身を守る為に致し方ない状況がほとんどの筈だ。僕も母親と呼べる人だったゾンビを殺した。自分と仲間を守る為に。そしてその罪の意識から救ってくれた仲間も、ゾンビを殺している。それを犯罪と言われるのは納得できない。  そんな理由でレジスタンスはいけ好かない。はっきり言って嫌いだ。  クズ、と言うのは、前述のゲーム感覚でゾンビを殺す奴等の事だ。こいつらはレジスタンスよりも嫌いだ。反吐がでる。人が人である為には、理性というものが必要だろう。あのクズ共にはそれが無い。  レジスタンスの意見を尊重する訳ではないが、ゾンビも元は人間であり、なりたくてゾンビになった訳ではない。何か一本、筋の通る物があったなら僕の印象も変わっただろう。ゾンビは人を襲うから、ゾンビに大切な人を殺された、等々。  だが奴等は楽しいから殺す。軍さんに止められたからできなかったものの、僕は奴等を殺したいほど嫌悪している。  冷静になれば、あんなクズと関わらない方が身の為なのは明らかだが、あの時激情に駆られたのは、やっぱり園長の事があったからだろう。  そこを歩いているゾンビも、あそこにいるゾンビも、誰かにとって園長の様な存在である可能性がある。そんな事を考えると、クズを許す事はできないし、殺したいとも思う。  畑に捨てられカビがはえてハエもたからないカボチャみたいに、腐りきってやがる奴等だ。
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