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そして、その腐った死体は自らの四肢を鉈で切り裂き、自ら食していた事も発覚した。
「これ……本当に祟りなんだ! だって、自分の手足を食って死んだんだぞ?!」
「馬鹿言うな! 脅されたとか、いくらでも予測はつくだろ!」
「作場のじいさんは身寄りもいない、死を待つだけの世捨て人みたいなもんだった。脅す材料なんて……」
「奇病……伝染病とか。こう、脳をやられて最終的には自殺を誘発するみたいな」
「それじゃあ、俺たちにも感染してるんじゃ……」
公民館に集められた村人たちは半ば錯乱状態だった。原因不明の変死が三件も続き、確実にこの村で何かが起きていると、確信したのだ。
次は自分かもしれないという恐怖が、全ての村人たちの中で蔓延していた。
村人の半数以上は鈴音様の祟りを信じ始め、神社には大勢の村人たちが早朝から地面に頭を擦りつけながら許しを請う姿が見られるほどだった。
「……この有象無象共もようやく事の重大さに気付いたようね」
私は一人、神社に赴き騒ぎ立てる村人たちを嘲笑し、立ち上がる。
「皆様の声はしっかり鈴音様へと届いております。ですから安心なさってください、祟りはこれ以上起こることはありません」
私の声に、村人たちは静まり返る。
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