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「鈴音様は大変喜んでおられます。ようやく村人の方々が信仰の心を取り戻してくださったのですから。鈴音様も本意では無かったのです、戦争で傷付いたこの村に更なる祟りを起こすなど」
「なら、なんで……祟りなんか」
村人の一人が、消極的に手を挙げて発言する。
「あなた方に強さとたくましさを取り戻していただくため、このような無粋な真似をしたのです。そして、今こうして成就された」
「では……もう祟りは起こらないのですか」
村人たちの表情は半信半疑、と言ったところか。
だが、これで十分だ。少しでも鈴音様の存在を疑い始めれば、後は簡単だ。
一連の変死の多発により、村人達の恐怖も限界に達し、精神も摩耗している。今なら村人の大半に誤催眠を仕掛け、一斉に殺す事も容易い。
「これ以上の祟りなどとんでもない。むしろ鈴音様はあなた方に感謝をしたいとおっしゃっています」
「感謝?」
「そう、鈴音様はこの生まれ変わった鈴音村の皆を祝福し、御加護を授けたいとおっしゃっています。そう……戦争で受けた傷を、癒したいと」
この村人たちは何も気づいていない。
これから、自分たちが、自ら死に向かうという事に。
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