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そしてこの夜……俺と静は、別れた。
この夜が、俺と静の最期になってしまうとも知らずに。
翌朝、あまり眠らないまま待ち合わせの公園で鶴を待つ。
今日からは鶴、そして雪ちゃんと一緒に登校をすると決めたのだ。昨日の鶴のお願いとは、毎朝欠かさず白羽兄妹と登校し、下校するという事だった。
鶴は俺まで村八分の対象になるのではないかと考え、なかなか言い出せなかったらしいが、俺は悩むことも無く承諾した。
雪ちゃんは正確には登下校ではなくそれの付き添いだ。まだ学校の授業を受けられるような体調ではないそうなので、登下校時だけ散歩と言う形で姉に付き添いたいと言い出したそうだ。
「……俺も、変わらなくちゃな」
昨日の静を見て、俺は決めた。少しずつでも良い、他人と分かり合える道を進むことを。
痴呆だと決めつけていた祖父ともしっかりと向き合う。鶴がどんなに罵られようとも、俺だけは彼女を信じる。
今までの俺はただこの村が気に食わなかっただけだ。村を変えようと何か努力したわけでも、自分自身が変わろうとしたわけでもなかった。
何かを変えるためには、まず自分が変わらないといけない。そんな簡単なことに、やっと気が付いたんだ。
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