第三話 『第一の悲劇 首祀り』

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「謝って、それで私の心が晴れると思った? ううん、違うよね。賢が謝って楽になりたいだけだよね」 「俺には、こうすることしか」  私は賢に畳みかける。賢の精神により圧力をかけ、痛めつける。  そして、私は土下座する賢を引っ張り上げ、目と目を合わせる。 「あるよ、賢にもできる事。正確にはこれしかないかな。賢が人殺しの孫として、責任を全うする方法」 「……祟りをこの村に起こそうと思うの。賢のおじいさん……源氏さんは祟りを恐れて二人を殺したんでしょう? だから、逆に私たちが祟りを起こせば分かるんじゃないかなぁ、自分のしたことの無意味さが」  それはあまりにも唐突で、衝撃的な言葉だった。  だあ、それは妄言などではなく、本気の言葉だと分かった。それは、鶴の瞳には先ほどまで失われていた光と温度が、確実に宿っていたからだ。 「私が賢に望むこと、私と一緒に祟りをこの村に祟りを起こすの。そして、この村……掃き溜めみたいな、くそったれな鈴音村へ……くそったれな手段で私と共に復讐をする」  鶴はその腕の中の骨人形を力強く抱き、神社に背を向ける。 「……復讐だなんて、そんなことをしても」 「ええ、誰も生き返らない。けれど、少なくとも私の心は晴れる。もしかしたら、雪や静ちゃん……そして賢の心もね」     
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