第四話 『第二の悲劇 針千本』

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「……白羽の、裏切者」  目の前に立っていたのは、白羽 鶴だった。  だが、以前までの印象とはだいぶ異なっていた。なんというか、表情が明るい。  そして、その笑みには狂気的な何かを感じた。 「突然ですか……あなた、鈴音様の存在を信じていらっしゃいますか」  白羽 鶴は丁寧だが、圧力のある声で言った。  何を言い出すかと思えば、妹の晒し首を目の当たりにして気でも触れたのだろうか。 「ええ、もちろん。鈴音様への信仰を継続すれば、私も、夫も、息子も皆が救われるのです」 「いいえ、それはあなたの思い込みです。鈴音様も万能ではないのです」  白羽 鶴は私の言葉を遮るかのように反論してきた。 「なんで……あなたにそんなことが」 「分かりますとも。だって私は、鈴音様の御言葉の通りに動いているのですから」  この娘、本当に気が狂っているのか。  不気味さと共に少し興味がわいた。妹は死に、姉は狂った。何と愉快な話だろう。  もう少し意地悪をしてやりたい、そんな気持ちに逆らえず私は娘を家に上げた。  まるで、私と同じような不幸を背負っている彼女に、興味が湧いた。  部屋に上げてやった後も、娘はずっと話し続けていた。     
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