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『おいおい、部隊長やってた岩田だよ。覚えてねぇのか? お前には色んな意味で散々世話になったんだけどなぁ?』
その声と表情……私の中で再び悪夢が蘇る。
戦場で、血と硝煙の匂いの中で……この顔の男に、私は犯された。
『俺は戦争で死んじまったけどなぁ、まさかお前の腹の中で、お前の子として宿ったんだから悪くは無かったよ! お前にとって、俺は……初めての男だからなぁ? アハハ!』
岩田の顔をした胎児が下品な笑いを響かせる。
私の身体は……あの日から、ずっと岩田に侵され、汚され続けていたのか。何年、何十年経っても、私の身体が綺麗になることなど無い。
この身が朽ちるまで、あの獣たちの遺伝子を受け継いで……。
「めろ……やめろおおおおおおおおおおおお!」
私の絶望は激しい憎悪と怒りに変わった。
畳の上で下品に笑い続ける岩田。
私はその頭に狙いを定め、思い切り足を踏み下ろす。
果物の様に頭は潰れるが、私はそれでも止めない。腹の傷が広がり、夥しい血と共に臓物が腹の外に流れ出ても、私は止めない。
私は、止めない。
「汚いっ……汚い、汚れている……私は、汚い」
腹の中から、引っ張り出せるだけの汚物を全て手づかみで引きずり出す。
赤黒い汚い汚物を腹から掻き出す。痛い、痛い……けれど……。
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