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そんな中で、殺人を行うのは至難の業だ。下手をすれば俺たちの復讐が公になり……どうなるだろう。考えただけでも寒気がする。
だが、鶴は殺しを止めない。そうなれば、俺もそれに従う以外に道は無い。
「心当たりがある。うちの……爺さんの知り合いで、丁度いいのが。だがその前に一つ、準備をした方がいい」
「準備?」
「念には念を入れるべきだと思う。もし、仮に鶴の正体がバレルことになんてなったら……って思うと、俺は……」
嘘だ。俺は単純に俺自身に被害が及ぶことを恐れていた。
俺は、死にたくない。この村によって殺されたくない。
「優しいんだね、賢は。賢だけは……この村が変わっても、ずっと変わらないでいてね」
けれど、鶴は俺の心中も知らずに、昔のような純粋な笑みを浮かべた。
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