38人が本棚に入れています
本棚に追加
だが作場の命がこの村への復讐に役立つのだ。私は罪悪感の欠片も感じることは無かった。
「そう焦らないでください。もう計画は練ってあるんです。具体的な計画は明日伝えます。それに、畑も燃えてしまったんですから食事のことも考えないと。しばらくは私が持ってきますから、家で安静にしてください」
むしろ、こんな死にぞこないの老人の命を活かすのだ。感謝してほしいくらいだ。
「それと、今は何かと物騒ですから、鍵は閉めていきますよ。車椅子も壊れかけてますから、修理しておきますね。全く、今までよくこんな状態で……」
私はてきぱきと手際よく部屋を片付けながら、まるで娘と父の会話のようだと思った。
私の父はもう死んでしまったけれど、こんな会話をしたような覚えが微かにある。
「お前、なんでそこまで俺の事を」
作場は私の姿を、どこか遠くを眺めるような視線で見ていた。何か、遠い過去を思い出しいるような、そんな雰囲気だった。
「何でって、共に復讐を遂げる相方じゃないですか。それに、似てると思ったんです。お互い、村に色々なものを奪われた境遇とか」
私は作場の方を振り返り、笑顔で答えた。
今まで屍のように乾ききった表情には潤いが蘇ったように見えた。
「俺の娘が生きてりゃ……こんな風になってたのかもな」
最初のコメントを投稿しよう!