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第七話 『最後の悲劇 皆殺し』
「賢。村人たちを明日の正午に鈴音橋の前に集めておいて。ああ、あと畑を燃やす前に回収しておいたカカシを対岸に何体か立てておいて」
鶴は俺にそう命じた。畑を燃やす前、畑に立っていたおんぼろのカカシを何体か回収しておいたのだ。
「一体、何をするつもりなんだ」
「何度も言わせないで。村を滅ぼすの。明日、その場に集まった全員を皆殺しにしてね」
鶴は俺もはぐらかし、詳細は教えてくれなかった。
あくまで、実行するのは彼女だ。俺が何かを言える立場ではないが。彼女は、一体どのようにして村人たちを皆殺しにするのか、俺には想像がつかなかった。
「だが、何と言って人を集めるんだ? 村人たちの警戒は今……」
「そうね……」
鶴は少し考えると、無邪気な笑顔でこう言った。
「鈴音様が実在するかその目で確かめたい者……とでも言えば、奴らは群がってくるわ」
翌朝、俺が鶴の言うとおりに告知すると、予想以上の人数が集まった。
村の大人たちのほとんど、人数で言えば数百人単位の人間が、外部と村を繋ぐ鈴音橋の前に群がっていた。
今日で、全てが明らかになると、村人たちは鶴の登場を心待ちにしていた。
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