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第三話 『第一の悲劇 首祀り』
俺にとって、今日は心機一転、生まれ変わったように気分の良い朝だった。
だが、そんな中、鶴はいつまで経っても待ち合わせ場所にやってこなかった。
もう随分と待った。下手をしたら遅刻をする可能性も出てきた。
「全く、何やってんだあいつ……今日から心機一転、切り替えていこうって決めたばっかなのによ~」
俺が苛立ちながら待っていると、ようやく向こう側の砂利道から鶴がものすごい形相で走ってくる。
「おい、遅刻だぞ! 寝坊なんかしてる……」
場合じゃない、と怒鳴りつけるつもりだった。
けれど、鶴の姿を見て口が止まる。何故なら、鶴は制服は着ていたが靴は履いておらず、血だらけの素足を晒しながら、俺の前に立っていたからだ。
「はァ……あ……はぁ」
「おい……顔真っ青だぞ……それにその足」
鶴の足は砂利道で石を踏みつけたのか、血が流れていた。顔色も悪いし、何よりその息遣いを見ればまともな状態でないのは明白だった。
だが、鶴はそんなものを気にするような素振りも無い。
「いない……いないの……いな、い」
「はぁ? お前一回落ち着けって。何がどうしたんだ」
「雪が……朝になったら、いなくなってて!」
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