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男の家族にとって、この事態の急転はまったく受け入れがたいものだったし、到底理解できるものではなかった。いったい、どういう経緯で男のことがテレビ局の人間に漏れ伝わったのか、彼らがどんな番組を作ろうとしているのか、そして何より、どうして病院側がこんな暴挙を局に許してしまっているのか。すべては男と家族の預かり知らぬところで進行していたのだ。
取材陣が帰っていったあとの病室に、父親と息子が残されている。部屋は朱い夕日で染められ、男はあいも変わらず穏やかな顔で眠り続けている。いらだたしいほど、穏やかな寝顔で。
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