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要の顔が不機嫌そうに歪む。
違う!と否定しようとしたら、要の腕に抱きすくめられた。
「これで我慢しなよ」
「え?」
「あいつは怪しい」
あいつって誰?
「それにあの研究も嘘臭い」
あいつって千織教授のことか。え!千織教授にハグしたいって思われた?違う違う!
「先に警察に寄って行かなきゃならない。昨日の事故のことで呼ばれてるんだ」
「え、何で?何も悪いことしてないのに!」
「さぁ。単なる事故じゃなかったってことかな」
「先生、いつもご協力ありがとうございます」
若い警官の声の先にいたのは、何と千織教授だった。
「千織教授、あとでお伺いしようと思ってたんです」
私は千織教授に駆け寄った。
「何の用かな。面接は不合格だと伝えたはずだよ」
「私、今朝夢を見ました。昨日の事故の夢でした。不合格の理由を納得いくように説明していただけませんか?」
「僕は君の……」
そこまで言って口を噤む。
「私の何ですか?昨日も私の夢が夢じゃないみたいなこと仰ってましたよね。詳しく聞かせてください!」
千織教授は長いボサボサ頭を手で掻き回して、困ったように横を向いた。
「君は例えて言うなら、人間ドライブレコーダーだ」
「はい?」
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