後編

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 要の顔が不機嫌そうに歪む。  違う!と否定しようとしたら、要の腕に抱きすくめられた。 「これで我慢しなよ」 「え?」 「あいつは怪しい」  あいつって誰? 「それにあの研究も嘘臭い」  あいつって千織教授のことか。え!千織教授にハグしたいって思われた?違う違う! 「先に警察に寄って行かなきゃならない。昨日の事故のことで呼ばれてるんだ」 「え、何で?何も悪いことしてないのに!」 「さぁ。単なる事故じゃなかったってことかな」 「先生、いつもご協力ありがとうございます」  若い警官の声の先にいたのは、何と千織教授だった。 「千織教授、あとでお伺いしようと思ってたんです」  私は千織教授に駆け寄った。 「何の用かな。面接は不合格だと伝えたはずだよ」 「私、今朝夢を見ました。昨日の事故の夢でした。不合格の理由を納得いくように説明していただけませんか?」 「僕は君の……」  そこまで言って口を噤む。 「私の何ですか?昨日も私の夢が夢じゃないみたいなこと仰ってましたよね。詳しく聞かせてください!」  千織教授は長いボサボサ頭を手で掻き回して、困ったように横を向いた。 「君は例えて言うなら、人間ドライブレコーダーだ」 「はい?」     
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