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「五感をシャットアウトして、脳内で録画映像を再生してる。それが君の睡眠の大半を占めている」
「意味が分かりません」
「起きている間に見聞きした事を、まるでカメラで録画するように脳が記憶してるんだ。それを脳内で再生している。
誰も同じようなものだが、君の場合はその映像に曖昧さがない。
要するに莫大な情報量を処理するために……」
説明が長くなると思ったのか、千織教授は話すのをやめて、深々とため息をついた。
「それがこの長時間睡眠の原因だっていうなら、治す方法は無いんですか?」
「治す必要が?」
「あるに決まってるじゃないですか!治す方法あるんなら教えてください!」
「訓練次第だよ。君の体なのだから、ある程度訓練で変えられる、と僕は思う。
逆にその能力を利用することだってできるかもしれない」
「その訓練の方法を教えてください!」
「残念ながら、そんな方法は知らない」
「じゃ開発してください」
「なぜ僕が?」
世の中とはこんなものだ。
希望に浮き上がった分だけ落ちる。人は現実を見て、地に足を着けて生きなくちゃならない。
「ところで教授。私のそのドライブレコーダーを見たんですか?どうやって?あの夢枕クン二号ですか?」
「いや、まぁ、その、そういう事は企業秘密だよ」
嘘臭い。
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