5.歪む歯車

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******* 「さ、出発しましょう!」 気づけば明後日になっていた、というのは少し大雑把すぎるが、本当の事なので仕方が無い。 マリモは只でさえ、緑色なのに、真っ青になっていた。 乙美も珍しくそわそわしている。 (通常運転が出来ているのは私と佑だけか…) ちらりと佑を見ると、いつもの両袖に腕を通すという姿勢で明後日の方向をぼーっと見つめていた。 いや、意外と通常運転じゃないのかも…。 鵺の事も気になるし、今日はちゃんと人間に化けなければならない。 もし、殿様に見つかったら…なんて想像はしたくないし。 「準備は万端?」 「うむ」 三人の声が揃った。 「化けるのも?」 「うむ」 ようし、出かけよう。 最後に乙美と佑の変装が抜かりなく完璧だった事を確認して、家を出た。 山奥にひっそりとたたずむ家…。 乙美はじっと麓にある、人里を見つめていた。 私はそっとマリモを持ち上げ、肩に置く。 マリモはのそのそと肩に座った。 「マリモも気を付けてよ?」 『大丈夫なの』 マリモの得意技は結界…。 それは紬も同じだ。 攻撃的な佑と、守る紬…そうやってお互いを守りながら生きてきた。 マリモは攻撃は出来ないが、結界術はあやかし界でも非常に優れている。 あまり使っていなかった(使う必要の無かった)らしいので、少し緊張しているようだった。
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