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「さ、出発しましょう!」
気づけば明後日になっていた、というのは少し大雑把すぎるが、本当の事なので仕方が無い。
マリモは只でさえ、緑色なのに、真っ青になっていた。
乙美も珍しくそわそわしている。
(通常運転が出来ているのは私と佑だけか…)
ちらりと佑を見ると、いつもの両袖に腕を通すという姿勢で明後日の方向をぼーっと見つめていた。
いや、意外と通常運転じゃないのかも…。
鵺の事も気になるし、今日はちゃんと人間に化けなければならない。
もし、殿様に見つかったら…なんて想像はしたくないし。
「準備は万端?」
「うむ」
三人の声が揃った。
「化けるのも?」
「うむ」
ようし、出かけよう。
最後に乙美と佑の変装が抜かりなく完璧だった事を確認して、家を出た。
山奥にひっそりとたたずむ家…。
乙美はじっと麓にある、人里を見つめていた。
私はそっとマリモを持ち上げ、肩に置く。
マリモはのそのそと肩に座った。
「マリモも気を付けてよ?」
『大丈夫なの』
マリモの得意技は結界…。
それは紬も同じだ。
攻撃的な佑と、守る紬…そうやってお互いを守りながら生きてきた。
マリモは攻撃は出来ないが、結界術はあやかし界でも非常に優れている。
あまり使っていなかった(使う必要の無かった)らしいので、少し緊張しているようだった。
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