3.狐は分かってくれない!

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それは、 それは――――。 「吹雪(わたし)をあなたにあげるわ。紬」 意を決した私は、誰にも止められない。 私は、扉の前に立ち、私の力ではビクともしなかった扉に触れる。 そう。 私の力では絶対に開かない。 じゃあ、紬の妖力は? 彼女の力を使えば、私は友秀に勝てるだろうし、この私よりも遙かに大きな門でさえ、壊すことができる。 「さようなら。佑」 私は静かに目を閉じて、全身に力を込めた。 (集中しろ、私) 私は元から霊力が高い。 それに紬の妖力を足す。 これを最強と呼ばずになんと呼べばいいのか? 吹雪が本気になれば、簡単に破滅だってできるのだ。 (もっと、霊力を。もっと妖力を!) どんどん体が熱くなるのがわかった。 じわじわと体内を蝕んでいる、紬の妖力。 「三、二、一ぃぃぃぃ!」 「ゼ、むぐっ」 ゼロ、と言いかけた時、口を押さえられた。 驚いて反抗するが、固定されているように動けない。 一気に体が冷めていく。 「!!」 そんな。 折角溜めた妖力が。 じわじわと体内の熱が抜ける中、自分が暗闇に引きずり込まれることがわかった。 抱きしめられたまま、私の耳元では「自分の命を粗末にするな…っ」と苦しそうに言う聞き覚えのある声が聞こえた。 あなたは… あなたは―――――。
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