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「…お前、俺の過去が知りたいのか」
立ち上がった佑は、私を見下ろす形になる。
だが、すぐに手を差し伸べてくれたので、私も立ち上がることが出来た。
真っ暗な闇。
でも、佑の姿ははっきり見える。
絶対に見間違えたりしない。
「うん。知りたかった。紬のことも」
だから、正直に答えるわよ。
私の返事に少し驚いたのか、一瞬止まる。
「でもな、お前のした事は大変な事なんだぞ」
「大変な事…?」
過去が知りたい、と何の関係があるのだろう。
私は、佑の次の言葉を待つ。
「お前は、もしかしたら歴史を変えてしまうかもしれない」
そう言うと、私の前に立ちふさがり、暗闇に手を差し伸べた。
すると、闇がモヤになり、モヤに映像が映った。
それは、先ほどまでの私の姿。
佑に声をかけ、紬に出会い、友秀の元に行くまでの…。
「俺が歩んだ歴史にお前はいない」
「そう…よね」
「なのに、吹雪が出た事により、少し変わってしまうかもしれないんだ。しかも、吹雪、お前は自分を犠牲に紬を助けようとしただろう?アレも歴史を変える行為。まず、あそこで友秀は俺らを退治しない」
「へ…」
私は佑の最後の言葉をピックアップした。
あの場所で二人は退治されない、という事なの?
じゃあ、彼らを倒したという退魔師は誰?
「それは、友秀だ」
佑が私の考えを見透かしたかのように、言った。
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