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「友秀ー」
竹の林を抜け、佑と共に久遠家の入り口に立っていた。
相変わらず古びた大きな家である事には変わりないが、その大きさからは、今までの功績と誇りを感じる。
トントントン。
私たちの前に立ち塞がる大きな門を叩く。
この小さな物音で気づく友秀はスゴい、と私は思う。
トントントン。
もう一度叩いたのは佑。
長い爪で、今にも門を切り裂きそうな勢いだったので私は力尽くで止めた。
「…変ねぇ。ちょいと中に入ってみましょうか」
「跳ばないんじゃねぇの?」
「こういう時は問題ありません」
少し、足に力を込めて勢いよく飛び立った。
佑と紬は、同時に門の淵に降り立ち、久遠家を見下ろす。
庭園は綺麗に掃除されているのが、上からでもわかった。これも、友秀一人で行っている事なのだろう。
上からではどうしても中の様子が一切見えなかったので、佑と無言の頷きを交わし、地面に降りる。
小石がずらりと並べてある庭園。
草木も豊富に生えていて、この辺りでは一番大きな建物だ。
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